FE万紫千紅を120時間プレイしてクリアした感想
『ファイアーエムブレム 万紫千紅』を、4人の主人公のストーリーを一通りプレイし、最終章までクリアしました。
プレイ時間は約120時間。
支援会話などはそこまで回収していないので、すべての要素をじっくり楽しむのであれば、さらに時間はかかると思います。
先に総評を言ってしまうと、
ストーリーやキャラクターは非常に良い。一方で、探索や育成などの準備パートがかなり重いゲーム。
という印象でした。
面白い部分はかなり面白いのですが、ゲーム全体がとにかく重く、万人向けとは言いづらい作品でもあります。
ストーリー
4人の主人公で全く異なる物語
今作では4人の主人公からストーリーを選ぶことになります。
それぞれ戦う理由もかなり違います。
カイは家族のため。
セオドラは国を背負って。
レダは復讐のため。
そしてディートリヒは……戦うことそのものが好きだから戦う。
同じ時代・同じ世界を舞台にしているため、それぞれの物語には共通する出来事もあります。
ただし、各主人公のストーリーを実際に見なければ分からない情報もかなり多いです。
別ルートを進めることで、
「なぜこのキャラはあのとき、こんな行動をしていたのか」
「この場面の裏側ではこんなことが起きていたのか」
と、少しずつ物語が繋がっていく構成になっています。
一つの物語を4回見るのではなく、4つの視点から一つの世界を解き明かしていく感覚に近いです。
この構成はかなり面白かったです。
FEらしさの中にSF要素もある
プレイ開始直後から分かりますが、今作はいつものFEとは少し世界観が違います。
銃火器を使っている人物がいたり、研究施設のような場所が登場したりと、ファンタジー世界の中にSF的な要素がかなり混ざっています。
最初は
「これ本当にFEなのか?」
と思う部分もありましたが、進めていくと世界観の一部として違和感なく馴染んでいきました。
剣と魔法だけではない独特な世界観は、今作の大きな特徴だと思います。
キャラクター
プレイアブルだけでも60人以上
今作は、とにかくキャラクターが多いです。
使用可能なキャラクターだけでも60人以上。
さらに敵キャラや神々、ストーリー上の人物などを含めれば、100人以上は登場しているのではないでしょうか。
これだけキャラクターが多いと、
「どうせ半分くらいはモブみたいなキャラだろう」
と思うところですが、実際にはそうでもありません。
プレイアブルキャラクターには、いわゆる完全なモブ枠がかなり少なく、それぞれに性格や過去、経歴が用意されています。
キャラクター作りに関しては、かなり力が入っていると感じました。
特に主要8人は魅力的
特に印象に残ったのは、ストーリーを選択できる4人の主人公。
そして剣闘祭で関わることになる4人の主要キャラクターです。
このあたりはストーリー上の扱いも大きく、性能面でもかなり優遇されています。
最初はキャラクターデザインに少し不安もありました。
斜視の男性キャラがいたり、褐色肌やドレッドヘアのキャラクターが多かったりして、
「ちょっと多様性を意識しすぎているのでは?」
と思った部分もあります。
ただ、実際にプレイしてみると意外と気になりません。
むしろ見慣れてくると、それぞれのキャラクターに味が出てきます。
5年後の姿も用意されている
『風花雪月』と同じように、今作でも時間経過後のキャラクターデザインが用意されています。
特にカイたちの成長後の姿はかなり印象的。
見た目だけでなく、立場や性格にも変化があり、
「ちゃんと時間が経過したんだな」
と感じられる作りになっています。
戦闘
ブレイズアーツが今作最大の特徴
今作の戦闘で大きな特徴となっているのが「ブレイズアーツ」です。
HPを消費することで強力な技を発動できます。
ただし使えば使うほど呪いゲージが溜まり、満タンになると一時的に最大HPが減少します。
単純に強力な技を撃ち放題というわけではなく、
今ここで使うべきか、それとも温存するべきか
を考える必要があります。
リスクとリターンがはっきりしていて、個人的には悪くないシステムでした。
ブレイズアーツを使用できるキャラクター自体は限られていますが、性能はかなり個性的です。
広範囲攻撃、バフ、デバフ、再行動など、それぞれ全く違う役割を持っています。
そのため「ブレイズアーツを持っているだけで全員同じ」ということもありません。
クイックバトルは便利だが、かなり単調
通常戦闘とは別に、今作では「クイックバトル」も追加されています。
今作は敵との戦闘回数がかなり多いため、テンポを上げるために導入されたシステムだと思います。
最初のうちは普通に楽しんでいました。
ただ、何度も繰り返しているとかなり単調です。
最終的には、
「もうスキップでいいか」
となることが増えてしまいました。
テンポ改善のためのシステムではあるものの、ゲームとしての面白さはもう少し欲しかったところです。
ワールドマップと探索
今作にはワールドマップがあります。
各地の街や洞窟を探索したり、賊を討伐したり、アイテムを集めたりしながら戦力を強化していきます。
従来のFEよりも、メインバトル以外のシミュレーション要素がかなり増えました。
さらに1回行動するごとに時間が経過していきます。
限られた期間の中で、
どこを探索するか。
どのキャラクターを育てるか。
何を回収するか。
を考えて戦力を整え、最終的にメインバトルへ挑みます。
このゲームサイクル自体は面白いです。
ただし、要素が増えたぶん複雑になり、後半ほど疲れやすくもなっています。
ここは今作で最も評価が分かれる部分だと思います。
キャラクター育成とキャラバランス
強キャラはかなり分かりやすい
今作には、
「明らかにこいつ強いな」
というキャラクターが普通に存在します。
4人の主人公。
4人のサブ主人公。
そして真の主人公と言ってもいい救世主。
このあたりは明確に強いです。
それ以外にもキャラクターごとの性能差はあります。
ただ、育成次第で絶対に使えないというほど壊れたバランスではありません。
好きなキャラクターを育てて使うこと自体は十分可能です。
問題は加入時期
気になったのは、キャラクターの加入時期によってかなり性能差が出ること。
今作では、
低レベルで加入したキャラクターを自分で育てる場合と、
最初からレベルが上がった状態でスカウトする場合で、
最終ステータスにかなり差が出る印象があります。
早めに加入して自分で育成したキャラクターの方が強くなりやすいです。
そのため終盤加入キャラクターほどステータスが劣りやすく、
「せっかく加入したのに、今まで育ててきたキャラの方が普通に強い」
となりがち。
これはキャラバランスとしてあまり良くないと感じました。
最終盤加入キャラ問題
FEではお馴染みですが、今作にも最終盤で加入するキャラクターがいます。
ただ、
あと少しでラスボスなのに、おっさんが加入して誰が使うねん。
と思ってしまうキャラもいました。
キャラクター自体は悪くないのに、加入時期のせいで使う機会がほとんどない。
これはかなりもったいないです。
武器バランス
キャラクターバランスは「まあまあ」だと思います。
一方で、武器バランスはあまり良いとは思いませんでした。
特に気になったのが斧。
今作ではお馴染みの
剣 > 斧 > 槍 > 剣
という3すくみがありません。
その結果、斧の
「命中率は低いが3すくみで有利を取れる」
という長所が消えています。
かなり極端に言えば、
ただ命中率が低く重い武器
になってしまっている印象。
もちろん個別武器やスキルで差別化はされていますが、武器種全体として見ると少しバランスが悪いです。
独自システム
ブレイズアーツ以外にも、今作には独自要素がかなり多いです。
代表的なのが、
冥魔。
瘴気。
加護。
です。
冥魔
冥魔は通常攻撃に対して特殊な耐性を持っており、対策しなければダメージを大きく減らされます。
特に終盤になるほど頻繁に登場するため、
冥魔にどう対処するか
が重要になります。
瘴気
終盤になると、マップ上に様々な効果を持った瘴気が大量に配置されます。
単純なダメージ床ではありません。
能力低下など様々なデメリットがあり、終盤マップの難易度を大きく引き上げています。
加護
そして今作には「加護」という非常に強力なシステムがあります。
『風花雪月』のように時間を巻き戻すタイプの加護だけでなく、
命中+50。
被ダメージ半減。
など、普通に考えればチート級の能力まで存在します。
しかも任意のタイミングで発動可能。
「そんなの使ったら簡単すぎるのでは?」
と思うかもしれませんが、終盤はこれらを使う前提に近い難易度になってきます。
難易度
今作は、
ノーマル/ハード
と
カジュアル/クラシック
を組み合わせた4パターンの難易度になっています。
発売時点では、FEではお馴染みの最高難易度「ルナティック」はありません。
発売直後はXなどで、
「ハードでもぬるい」
「ブレイズアーツ強すぎ」
「加護を縛らないと簡単すぎる」
といった意見もかなり見かけました。
ただ、実際に最後までプレイした印象としては、
その評価は序盤だけを見たものだと思います。
中盤以降はハードでもかなり手応えがあります。
そして終盤は、
ルナティックに片足を突っ込んでいるくらいの難易度。
という印象でした。
冥魔、瘴気、敵の高ステータス、特殊能力などが一気に増えます。
そのため、加護やブレイズアーツは救済措置というより、それらを使用することも想定して調整されているように感じました。
逆に言えば、
ブレイズアーツ禁止。
加護禁止。
といった縛りプレイをすれば、セルフルナティックも楽しめます。
そこまでやる狂人がどれだけいるかは知りませんが……。
UI・操作性
UIは全体的にかなりスッキリしています。
従来作よりも現代的で、おしゃれなデザインになった印象です。
Switch 2向けになった影響も大きいのかもしれません。
一方、操作面ではところどころ分かりづらい部分があります。
ただ、今作はシステムそのものがかなり複雑なので、ある程度は仕方ない部分もあると思います。
ボリューム
ボリュームはとんでもないです。
自分は4人分のキャラクターストーリーをプレイし、最終章までクリアした時点で、
120時間を超えていました。
しかも支援会話はそこまで見ていません。
支援会話や細かいイベントまでしっかり回収する人なら、さらに10時間以上は普通に増えると思います。
「ゲームは長ければ長いほど嬉しい」
という人にはかなり満足できる作品。
一方、
「30~40時間くらいでサクッとクリアしたい」
という人には相当重いと思います。
FEを遊ぶなら、このボリュームはある程度覚悟した方がいいです。
今後DLCやルナティックが追加されると考えれば、200時間遊ぶ人も普通に出てきそうです。
演出・音楽
音楽はかなり良かったです。
特に印象的なのが、メインキャラクターごとに用意されたBGM。
カイなら爽やかで疾走感のある曲。
ディートリヒならギターを前面に出した格好いい曲。
といった具合に、それぞれのキャラクター性に合わせたBGMが用意されています。
各キャラクター関連だけでもかなりの曲数があり、どれも戦闘中に気持ちよく聴けます。
音楽については今作のかなり良い部分だと思います。
不満点
セーブデータがオートセーブかつ1つしかない
これはかなり大胆な仕様です。
今作は基本的にオートセーブで進行し、セーブデータも1つ。
従来のFEとはかなり違います。
やり直しが簡単にできない緊張感を狙ったのかもしれませんが、個人的にはかなり賛否が分かれる仕様だと思います。
特に後述する探索システムとの相性が悪いです。
とにかくテンポが悪い
自分が今作で最も気になった部分。
メインバトルに到達するまでが長すぎます。
準備期間がかなり長く、しっかりキャラクターを育てようと思うとワールドマップを探索する必要があります。
一応、
「準備期間をスキップして、自動で戦力を強化する」
という機能もあります。
ただし自動育成ではキャラクターが弱くなりやすい。
強くしたければ自分で探索する。
でも探索すると時間がかかる。
という状態になっています。
終盤になると探索そのものも驚くほど重くなります。
同じ探索を何度も繰り返す
4主人公それぞれのストーリーは全く違うため、物語そのものを4回見ることにはそこまで不満はありません。
メインバトルについても、一部共通する戦いはありますが、視点やギミックが少し変化するため、それほど気になりませんでした。
問題はワールドマップ。
基本的には同じ場所を巡ることになります。
同じスポットに行く。
アイテムを回収する。
敵を倒す。
キャラクターを育てる。
これを4人分繰り返します。
主人公ごとに多少やることは違いますが、さすがに4周目になるとかなり重く感じました。
周回前提なのに1周が重すぎる
ここはかなり大きな問題だと思います。
今作には、
周回すればするほどキャラクターを強くしやすくなる
という設計があります。
つまりゲーム側としても周回プレイを想定しています。
ところが、1周にかかる時間が長すぎます。
ストーリーを飛ばして効率よく進めても、10時間以上は普通にかかります。
そのため4主人公をクリアしたあとに、
「あのキャラをもう少し強くしたいから、もう1周しよう」
とはなかなかなりません。
周回を推奨するシステムと、1周の重さが噛み合っていません。
もう少しサクッと周回できる作りなら、かなり印象が違ったと思います。
やり直しとの相性が最悪
詰んでしまった場合などには、
「章の最初からやり直す」
という選択肢があります。
ただ、任意セーブを残しておくことができません。
つまり本当に最初から。
せっかく時間をかけて探索したり、キャラクターを育てたり、アイテムを回収したりしても、それらをすべてやり直すことになります。
これだけ準備パートが長いゲームで、この仕様はかなりきついです。
正直、
これが令和のゲームとは思えない。
と感じる部分でした。
時間に余裕がない人には特に厳しいと思います。
オート機能が信用できない
便利そうに見えてかなり危険なのがオート機能。
終盤になると仲間が60人を超えます。
さすがに一人ずつ装備を整えるのが大変なので、「自動装備」のような機能を使ってみました。
ところが、
全く使っていないキャラクターに強い装備を渡す。
キャラクター固有武器を別のキャラクターに持たせる。
魔法職に物理武器を持たせる。
など、とにかく酷い。
しかもオートセーブなので元に戻すのも大変。
正直、かなり罠です。
自動でレベルを上げる機能などもありますが、こちらも自分で育てた場合より弱くなりやすい印象。
「重いゲームなので便利機能を用意しました」
という意図は分かります。
ただ、その便利機能の性能が低いため、結局プレイヤー自身が全部管理することになります。
ここはかなり改善してほしいです。
総評
『FE万紫千紅』は、
ストーリーとキャラクターは非常に良い。しかし、ゲーム全体があまりにも重い。
そんな作品でした。
4人の主人公それぞれから世界を見る構成は面白く、別ルートを見ることで今まで分からなかった人物の行動や世界の謎が少しずつ繋がっていくのは非常に楽しいです。
60人を超えるプレイアブルキャラクターも、多くがしっかり作り込まれています。
ブレイズアーツ、冥魔、瘴気、加護といった独自システムも、終盤になるほど戦闘に大きく関わってきます。
一方で、
探索。
育成。
装備管理。
周回。
このあたりがとにかく重い。
特に、
周回するほど強くなるゲームなのに、周回する気を失わせるほど1周が長い
という部分はかなり気になりました。
サクサク進めたい人には正直おすすめしづらいです。
逆に、
FEを何十時間、何百時間でも遊びたい。
大量のキャラクターを育てたい。
ストーリーの伏線や人物関係をじっくり考察したい。
そういう人であれば、かなり長く遊べる作品だと思います。
自分は120時間プレイしましたが、なんだかんだ最後まで遊び切れました。
不満点はかなりあります。
それでも最後までプレイしたうえで振り返ると、
「かなり面白かった。でも、とにかく重かった」
というのが一番しっくりくる評価です。

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